REAL by 鈴木さえ子(『ノーライフキング』サントラ)/ なぜか梅雨に入ると聴きたくなる曲

なつかしいですね。いとうせいこうさんの小説が出版されたのが1988年、市川準監督の映画は1989年公開です。大好きだったんです。小説も映画もサントラも。

この曲、10分もあるんですが映画で全部流れます。その間、セリフは一切ありません。まことくんが外に出て、街を歩き回って最後に雨に打たれるまでずーっと。そのせいか、雨が降り出すと思い出す…
でも音だけ聴いていると、雨の中を歩いていたら、最後に(8分あたり~)光が射すって感じもします。まことくんの心の中は意外とそんな風に逆だったのかも。

このサントラ「NO LIFE KING NO MUSIC」は今も本当によく聴きますが、さえ子ちゃん(って呼びたくなっちゃうんですよね~)て、才能ある作曲家さんだよな~と思います。もちろんドラマーとしてもシンガーとしてもステキだったけども。1曲、バンドでコピーしたことありましてん♪

ちなみにサントラのタイトルは「ノーライフキングのミュージック」という意味であって、「ライフキングなければ音楽なし」ではないですよ。「NO MUSIC NO LIFE」ってタワレコのキャッチフレーズはもっとずっと後にできたはずなんですけど、インスパイアされてます??ま、そんなことないか。

話がそれましたが…
さえ子ちゃんはまことくんのお母さん役で映画にも出ていました。正直、子役も大人役も演技はうまくないんだと思います。でも子役はいい味出してますし、大人役で出演している人たちは実はちょっと意外なミュージシャンだったりします…

市川準監督の特に初期作品はもうどれもこれも好きですが、意味ないと思うような景色やら無駄に長いと感じるシーンやら、すべての空気感が私の個人的好みにすっぽりハマるんでしょうね。

この作品のVHSは持っていますが、もうデッキがなくて見られません。当然ながらDVDにも配信にもなく。でもどうやら検索してみたらどこぞで見られそう…後で見ようっと。

で、昨日、小説のほうを読み返してみました。そしたらあらためて…
びっくりした。
これ、テレビゲーム(ファミコンとか)はあったし、徐々に生活にコンピューターが入り込んではいたけれど、一般家庭で誰もがパソコンを手に入れてインターネットに接続する以前の話なんですよね。まことくんが塾のコンピューターに打ち込む文字も全部カタカナにしかならない。スマホどころか携帯も庶民にはまだまだ。

インターネットとスマホがこんだけ普及っつうか世界を動かす時代になってから読むと、古くさいと感じるのかな?って読み進んでみたら…とんでもない。どんだけ今とリンクしてんだよっ!てもうめまいがするくらいでした。でも、あの時代を知っている古い人間だからなんでしょうね…今の日常がごく当たり前の若い人が読んでも、この衝撃は感じられないのかもしれない。長生きすると面白いこともありますね。

小説と映画では「リアル」の捉え方が完全に反転しているので、小説はその辺りが不気味です。そしてその不気味さは、ねじれたトンネルをくぐって確実に現在につながっている、そんなイメージが浮かびます…

あ、チロリンの主題歌「星に願いを」もおすすめですー。

0 コメント:

コメントを投稿