A Flower is a Lovesome Thing / 秋の夜長に似合うヒゲのおっさんの曲

再び、素材待ちであります。しばらくは実務案件なので、BGMありの日々が続きそうです。

私の好きなヒゲのおっさん!Vince Guaraldi(ヴィンス・ガラルディ)も仕事中によく流しています。スヌーピーのサントラで有名なジャズ・ピアニストです。
どちらかというとノリのよいラテンっぽい感じの曲や演奏ばかりのイメージだったので、この"A Flower is a Lovesome Thing"を聴いた時には、「おっさん、やるな!」と驚きました(すみません、このようなすばらしいピアニストをつかまえて、なんという言い草。愛情の裏返しであります。しかも今の私よりも若い年齢で亡くなっておるのです…しかも私の誕生日に。あぁ、なんという…)。こんなにも不思議な雰囲気の優しげな演奏をする人だったのか~と。

私はもともとジャズなどにはまったく疎いので、ずっとヴィンス・ガラルディの曲と思っていたら、オリジナルは唄モノで作曲はビリー・ストレイホーンというヴィンスより10歳あまり年上のジャズ・ピアニストでした。この方は有名な『A列車で行こう』の作曲者です。

"A Flower is a Lovesome Thing"は同名のアルバムの1曲目です。ノリのよい曲も入っているのですが、やはりアルバム全体がメロウっつんですかね、「花とは愛らしいもの」といった気分に満ちています。


実は先日、友人が訪ねて来た時にお花をいただいたのです。↓これ
(背景はどうか気になさらずに…)


私の部屋には観葉植物、多肉植物、サボテンが結構あるのですが、普段あまりお花は飾らないのです…なぜならば、枯れてしまうのが苦手でして。。。
でも、いただいたお花がステキで!!あ~~~やっぱりお花っていいな…と思ったしだいです(だけど、今日になったらダリアがしおしおになってきた…うわーん)。

そんなこともあり、このアルバムを引っ張りだしてきたら、意外と秋の夜に似合うなんて思ったのでした。

ラグリマ / もう一度クラシックギターを習いたくなった曲

今、次のお仕事の素材待ちでして、昨日に続き連投しています。

秋になるとピアノやギターのソロが無性に聞きたくなるのは私だけでしょうか。そんなわけでフランシスコ・タレガの「ラグリマ」です!

中高の女子校時代、マンドリン&クラシックギターアンサンブルの部活に入っておりました。なんで入ったのかというと、単に家にクラシックギターがあったからという…。なぜ家にあったのかというと、母が弾いていたのですな。と言っても母の演奏は「禁じられた遊び」の出だししか聞いたことがありません…。なんで持ってたんだろ。
そんなわけでギターが家の中にぽつんと置いてあったので、私が部活でやってみっかーと思ったのでありましょう。

が、しかし、私はファーストギターというメロディーを弾くパートになったため、そして一度決まったパートは基本的に6年間変わらないため、コードというものをほとんど押さえられないまま卒業してしまいました。あはは。
高校時代は並行してデュラン・デュラン(!)のコピーバンドでエレキギターを弾いてはおりましたが、なにしろTAB譜を見て一生懸命押さえるという体たらく。

そんなですから、大して弾けもしないまま、ギターからどんどん遠ざかってしまいました。が、何年か前にたまたまこの「ラグリマ」を耳にしたところ、ズドーンと胸に響きまして「これを弾けるようになりたい!!!」と思ったのです。
タレガ作曲の有名な「アルハンブラの思い出」は部活でやったことがありましたが、当然、あのトレモロのメロディーしか弾けません…。あれ、1人で全部弾くってどんだけ超絶技巧なんだ、よ!
「ラグリマ」も非常に難しそうだけど、ちゃんと先生に習いにいけば5年くらいしたら弾けるようになれるかも…と淡い期待を抱きつつ、踏み出せずにいるままであります。。。今は1本もギターを持っていないので、まず買わないとなー。

「ラグリマ」に魅了されるギタリストはプロ、アマ問わずと~~~っても多いようで、Youtubeで探すといくらでも出てきます。でも、人によって全然異なるんですよ。もちろんうまい、下手もありますが、プロの弾き方でもテンポやタメが全く違ったりするので本当に面白い。当然、使うギターによっても響きや鳴りが微妙に変わりますもんね。いろいろな演奏者のを聞いたんですが、下にアップしたTavi Jinariuというギタリストの「ラグリマ」が私が弾いてみたいと思う感じです(って言うのも恐れ多いですが、目指すだけならいいですよね…)。
おばあちゃんになったらネコを飼って、ネコの隣でこれを弾くのが夢。

ペイネ・愛の世界旅行 / 陸奥A子先生(のマンガ)に教わったモリコーネ曲

「ペイネ・愛の世界旅行」という名を知ったのは、私の大大大好きな陸奥A子先生の初期傑作!!!マンガの1つ「冬の夜空にガラスの円盤」の中のセリフでした。

主人公の女の子の家にある日、明治時代??くらいからタイムマシンに乗って優しい詩人のメガネ男子がやってくるお話です。あーもう書いているだけで幸せな気分になってしまうA子たんマジック!(結末はちょっと切ないですが)
彼女の部屋に来た詩人くんが、ラジカセ(!)から流れる曲を聴いて、「優しい曲だね」と言うと、彼女が「これは『ペイネ・愛の世界旅行』という曲よ」と答える場面。

当時、小学生だか中学生だかの私は、「『ペイネ・愛の世界旅行』とは一体どんな曲なんじゃろ…陸奥A子先生がセリフにするくらいだから、ステキな曲に違いないよなー」などと思っておりましたよ。今ならYoutubeですぐ探せますけどね。。。

それから、ペイネがレイモン・ペイネのことだと知り、先生のマンガ同様、彼の世界も大好きになりまして、就職してから1枚だけ本物のリトグラフも購入しました。頑張ってアンティーブのペイネ美術館にも行きました。
が、依然として「ペイネ・愛の世界旅行」を聞かぬまま時が過ぎてしまいました。

そして2001年、ついにリバイバル公開となります。恵比寿ガーデンシネマに見に行き、やっとこの曲を耳にすることができました。作曲したエンニオ・モリコーネが有名な映画音楽作曲家だというのは知っていましたが、そんなに知識がなかったので(『荒野の用心棒』とか…くらいな)、こんなに美しい旋律を作り出す人だったのか…!!!と驚いたのを覚えています。そして、これでもか、これでもか、これでもか~~~のドラマチックな盛り上がり…。モリコーニ、すげぇ…とほとんど口あんぐり状態でした。

もちろんメインテーマ以外のアレッサンドロ・アレッサンドローニ(この名前、ヨハン・ヨハンソンみたいだなー❤)の曲も当然ながらデジタル皆無のキラキラとしたアナログ感に満ちたステキな楽曲ばかり。

アニメーション自体も、可愛らしいけど決して甘いだけじゃない、風刺やちょいエロプラスの、こちらもこれでもか~のペイネの世界です(字幕は岡枝慎二さん)。
もちろん、サントラもDVDも即入手いたしましたよ。

そんなわけで、この曲には壮大な愛!愛!!愛!!!のイメージがありまして、何だか疲れちったなーとか心がクサクサすんなーみたいな時に聞いたりします。そうすると何か大きなものに抱かれる感じがすると言いますか、よく眠れるような気になります。そして、陸奥A子先生のマンガの世界に閉じ込められて生きていきたい!と本気で切望していた昔の私の夢がほんの一瞬、かなえられるような感じさえするのです。

Fordlandia / たぶん、死ぬまでにあと5000回は聴く曲

と、いうわけで、歌詞訳は非公開といたしました。
詳しい理由は、こちらをご覧ください。

本当はもうこのブログ自体を閉じてしまおうかなーと考えていたのですが、まぁ、正直、最近聴いているものはインストばかりなので、細々と紹介でも続けてみっかと思い直したのでした。

その、記念すべき(何を?)1曲目は、やはりJóhann Jóhannsson!!
今年の2月に急逝してしまいました…「メッセージ」「博士と彼女のセオリー」などのサントラで近年どんどん有名になり、今後が最も期待されている映画音楽作曲家と言っても過言ではなかったのに本当に残念です。死亡が報道された当時、死因は不明となっていましたが、先日、何気に英語版のWikiを見たら"The cause of death was an accidental overdose of cocaine combined with medication."となっていました。マジか。死因はわざとではなくたまたまコカインを摂取しすぎた+投薬ってことでしょうか。

元の引用はドイツ語の記事でして、Google先生に聞いてみたところ、やはり病気(何の病気かは書いてありませんでした)で投薬中にコカインを摂取したことによる、というような内容でした。。。つまり自殺ではなく事故と言えそうです。

何をやろうが本人の勝手なので、クスリについてうんぬん言うつもりは毛頭ないのですが、あんた、自分でも死ぬと思ってなかったんだろうに、もー、バカバカ!って気分ではあります。。。

私がヨハン・ヨハンソンをきちんと聴き出したのは非常に遅くて「メッセージ」のサントラです。「博士と彼女のセオリー」は賞も受けたりしたので知っていましたが、それよりも何よりも「メッセージ」を観た時に流れた”First Encounter"のドワ~~ンというちょっと雅楽みたいにも聞こえる音に衝撃を受けたのでした。

それからいろいろと聴きましたが、一番好きなのは実はサントラではなく、この"Fordlandia"です。「フォードランディア」は1920年代に自動車王のヘンリー・フォードがタイヤのゴム製造を目的にアマゾンの奥地に建設した町です。工場の他に学校や病院も作り、アメリカの町をそのまま移植したような所。それだけでなく労働者に、禁酒・禁煙、ハンバーガーの食事など、まっとうな(?)アメリカ人的生活を強要しました。そんなことから労働者の暴動が起こり、もともと土地がゴム栽培に向いていなかったこともあって、結局、フォードは土地を放棄。現在では廃墟になっているという失敗ユートピアなのです(ドキュメンタリーなども制作されているので機会があったら見たい!)。

ヨハンがそんな話にインスパイアされてできたのがこのアルバムだそうで。
もう、このアルバムタイトルと同名の1曲目"Fordlandia"を何度聴いたか分かりません。特にヨハンが亡くなったと知ってからは、冗談でなく毎日のように聴いていたかも。今もかなりの頻度で聴いてます。

この曲、クラシックとモダン、キラキラとドヨヨン、最高の恍惚感と最悪の悲壮感が絶妙なバランスで同居している、ものすごく明るくて美しいけど人のいない風景をモノクロ写真で撮ったみたいな、そんな不思議な曲で、中毒になるんです(あまりの語彙の貧弱さに自分でも驚いてますんで、お許しください。。。)。まさに下に貼っつけたとおりのイメージ。

これを聴いて何度、泣いたか分かりません。別にヨハンが死んだのが悲しくてというような直接的な理由ではないのです。私にはこの曲に、人が生きていくこと、死んでいくことのすべてが詰まっているように感じられるのかもしれません。だから毎日でも聴き続けられるんだろうと思います。